人気ブログランキング | 話題のタグを見る
<< ●意味の無い、好き(№34:哀) ●風の通り道(№32:哀) >>

●男と女(№33:愛)



両親がケンカしている。

醜く叫びながら
モノを投げ合いながら

狭い家の中で私は
外に出ずに奥に、奥に、逃げようとする。

2人の愛の結晶である、私。
どちらが欠けても、私は生まれなかった。いや、「私」にはならなかった。

それなのに・・今
引き裂き合おうとしている、私の愛たち。



親子の愛は、夫婦の愛を救えない。

両親はもはや
子供の親である事を忘れ、夫婦である事を忘れ
男と女の顔をして向き合っている。

そこに私は存在しない。
そこには愛憎にまみれた男女の姿があるばかり。

私もいつか、そうなるのだろうか。
この世の何よりも誰よりも
目の前にいる男の顔だけを見つめる日が来るのだろうか。
by kumoino | 2004-05-18 13:40 | 詩的:愛
<< ●意味の無い、好き(№34:哀) ●風の通り道(№32:哀) >>