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もう1人の私が話しかけてくる
もう嘘をつくな、と

柄にもなく厳しい目をして
冷静に言葉を操りながら


私は
どこかで見た大人のように
目線を合わせず
笑い飛ばしながら
去っていく

私が選んだ道の先へ


もう1人の私は見つめてる
いつまでも

どんな表情なのか
見えないくらい後ろでポツンと


私は
どこかで見た子供のように
目を泳がせては
理屈をこねながら
去っていく

私が選んだ居場所に向かって


もう1人の私は、もういない

私が消した
生きるために頑張って考えてきたのに
自分の方が消されるんじゃないかと

怖くなって
この手で消した


もう、私しかいない
もう誰も
私の位置を確かめさせてくれるものは
なにも無い


私が消した
幸せになるために頑張って考えてきたのに
自分の方が間違っているんじゃないかと

怖くなって
この手で消した


もう、誰もいない
私だけ
私を静かに見守ってくれるものは
なにも無い

残されたのは
私が選んだものだけ
by kumoino | 2005-03-11 20:29 | 詩的:哀
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